代表的なエサ
【マムシ】
和名はイワムシ。各地にさまざまな呼び名がある。どんな魚にもよいムシエサで、キス釣りでは大型狙いを中心によく使われている。クロダイなどうれしい外道もよくくるエサ。大型なので数釣りには向かない。
大型のエサなのでハリいっぱいより少し長いくらいにしてハサミで切る。頭部は硬いので切り取っておいた方がよく、中心からていねいに刺し、最後にハリ先を出す。
【イチヨセ】
袋イソメ。ミノムシなどの名もある。和名はスゴカイイソメ。身が柔らかいので遠投は無理だが食いはよい。
【アオイソメ】
安くてちぎれにくく丈夫。入手が簡単、キスの食いもよい便利なエサ。ただサイズがふぞろいでキスには少し大きすぎる。切って使うのが一般的。
小型の場合、1匹そのまま通し刺しにする。長い場合はマムシのように切るとよい。
【イシゴカイ】
和名はイソゴカイ。小型のムシエサで7~12cm。キス釣り、特に数釣りではこのエサがなければ始まらない。小さいので小針でも一匹刺しが可能。アオイソメよりは柔らかくて切れやすいが、イチヨセよりはしっかりしている。
イシゴカイは小さいので1匹の通し刺しが一般的。しかし、柔らかく投げると切れやすいので、最初から余った分を切ってしまってもよい。
【その他のエサ】
キス釣りのエサの主流はムシエサだが、意外なエサにも食いついてくることがある。
クロダイのオキアミを使うウキ釣りでキスが釣れることもあるし、船釣りではムシエサを使わずに、わざわざ紅染めをしたエビのムキ身を用意して客に使わせるところもある。
変わったところではイカの切り身。アナゴなどを狙って細めに切ったものを投げ込んでおくと、大型のキスがそれに食いついてくることがある。
これは数釣りの取り込みで、ビギナーがよく失敗するケースだ。特に仕掛けが長いので気をつけなければならない。取り込みは寄せる波をうまく利用して確実にしよう。これでかなり釣果が上がるはずだ。
取り込みのコツは、寄せる波とともに仕掛けを浮かせて、寄せ波より少し速いスピードで引き上げる。そして波が引くと、ズラズラッとキスが砂浜に姿を現すという感じでやるとよい。波頭が崩れだすようなところには、仕掛けを絶対持っていかないように。
釣果をさらにアップするために、取り込んだ後も考えたい事がある。それは8本針のどこにキスが食いついているかである。上針だけにキスが食いついている時はリーリングのスピードが遅く、逆に下針だけだと、リーリングのスピードが速いということである。これはその日のいろいろな条件がからんでくるので絶対だとは言えないが、正確なリーリングのスピードの目安となるので、必ず実践したいテクニックだ。
”引き釣り”が威力。
キーポイントはリーリングのスピード。
潮、風、海底を的確に読んで、キャスト!
釣り場に着いたら、すぐキャストして釣るのではなく、1,2投は海底の状態を把握するために、ゆっくりリーリングしよう。オモリの微妙な異常感で底を探ることができる。
リーリングは、一般的には時計の秒針の回る速さがベストだとされているが、あくまで目安として考えよう。海底の起伏によってスピードは変えるほうが望ましい。例えばキスがいそうなカケアガリにきた時に、スーッとスピードを殺してやると、食いつくというケースが多い。だからここぞというポイントのリーリングは遅めか、心持ち止める方がよくアタる。
このように数釣りは、手持ちでゆっくりサビキながら釣る”引き釣り”が主流となる。
数釣りでは広く探れるということが有利な条件となる。すなわち遠投ができるかどうかということである。最低でも100mは投げられるように努力しよう。初心者なら頭の上から振り切るオーバースロー。オーバースローをマスターしたら、飛距離が出てコントロールも正確なスリークオータースローを実践しよう。
海底の状態がわかれば、次は潮流を考えよう。キスはもちろん魚というものは、潮上に向かって泳いでいることが多いので、キャストは潮上の方にするのが基本。そして仕掛けを引く方向は潮下である。また、群れのいるところがわかれば、その群れより沖にオモリを投入すること。そうでなければ、せっかくの群れを散らしてしまうことになるからだ。
さらに込み潮と引き潮によっても、リーリングのスピードを変えよう。込み潮は沖から手前に潮が寄せてくるので、仕掛けが絡みやすい。そのためにリーリングはやや速くする。引き潮は反対に仕掛けが引っぱられるので釣りやすい。